不動産売却時に行う確定申告の方法と申告する上での注意点を徹底解説

不動産売却時に行う確定申告の方法と申告する上での注意点を徹底解説

確定申告は、税金を納めるために必要な手続きです。仕事で収入を得た際に確定申告を行う必要があるのは多くの方が知っていると思います。

それでは、仕事以外の収入、たとえば不動産売却で得た収入の確定申告は必要でしょうか。

結論からいえば、不動産売却で利益を得た場合は確定申告を行わなければなりません

とはいえ、サラリーマンは基本的に確定申告が必要ないため、中には「はじめての確定申告で手順や必要書類がまったくわからない」方もいるのではないでしょうか。

また、「一般の確定申告は経験があるけれど、不動産売却時の確定申告の方法はわからない」方もいるでしょう。

そこで、不動産売却時における確定申告の方法や注意点を詳しく解説します。
特に、2020年にはじめて不動産を売却した方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売却時に売却益が出た場合、確定申告は必要

不動産を売却したときは、確定申告を行う必要があります。とはいえ、すべてのケースではありません。不動産売却で利益を得た場合に限り、確定申告が必須です

不動産を売却する際には、不動産会社への仲介手数料や印紙税、登記費用などの経費がかかります。物件によっては、廃棄物処理費や解体費がかかることもあるでしょう。

不動産の売却代金からこうした経費を差し引いたときに、利益が出た場合は、その利益を申告しなければなりません

売却益が出たのに確定申告をしないと無申告加算税と延滞税が課せられる

売却益が出たにもかかわらず確定申告をしなかった場合、重大な不利益を被ります。

まず、所得税とは別に発生する無申告加算税です。無申告加算税では、本来納付しなければならない税額に対して、50万円までは15%50万円を超える金額分には20%が加算されます。

参考:確定申告を忘れたとき|国税庁

本来の納税額が100万円だった場合の無申告加算税の計算式は、以下の通りです。

50万円×15%+50万円×20%=17万5,000円

確定申告をしなかったばかりに、本来であれば支払う必要のない17万5,000円もの税金が余計にかかってしまいます。

次に、延滞税です。延滞税の税率は、延滞している期間によって以下のように定められています。

延滞期間 税率
2カ月までの期間 7.3%
2カ月を超える期間 14.6%

100万円の納税を3カ月(90日)延滞した場合の延滞税は、以下の通りです。

100万円×14.6%×90日÷365日=1万7,000円

本来の納税額が、より大きければ無申告課税も延滞税もより高額になってしまいます。こうした不利益を被らないためにも、売却益が出た場合は必ず確定申告を行い、期限内に納付しましょう。

参考:延滞税の計算方法|国税庁

売却益が出ない場合、確定申告は必要ない

売却益が出なかった場合は、確定申告の必要はありません。ただし、損益が出た場合に確定申告をすれば、その損失を他の所得から差し引ける特例を利用できます。

売却益が出なかったときには、確定申告の義務はありません。しかし、その場合、次で紹介する特例を使えませんので、注意してください。

損益が出た場合の特例を使うためには確定申告が必要

損益が出たときに利用できる特例は、以下の通りです。

特例 概要
特定居住用財産の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 マイホームなどの居住用財産を売却した際に、住宅ローンが残っている状態で売却損が出た場合、その年の他の所得から差し引ける制度。差し引きしきれなかった金額は、翌年以降3年間繰り越しての控除が可能。
居住用財産の場合の譲渡損益の損益通算及び繰越控除の特例 5年を超えて所有する居住用財産を買い替えた場合に、売却損が出た場合に利用できる制度。売却損をその年の他の所得を損益計算できる。

参考:土地や建物を売ったとき|国税庁

確定申告の時期

確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日までです。前年の1月1日から12月31日までに得た所得を、この期間に申告します。2月16日あるいは3月15日が土曜日、日曜日、祝日の場合は翌平日に繰り延べです。

2021年の確定申告期間は、例年通り、2月16日(火)~3月15日(月)です。確定申告は、住民票がある住所を管轄する税務署で行います。

なお、各市区町村では、確定申告の直前になると税理士による無料相談が行われることが多いです。はじめて確定申告を行う方や、確定申告について疑問がある方は、無料相談に出向いてはいかがでしょうか。

不動産売却時における確定申告の必要書類

不動産売却の確定申告に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書B様式
  • 分離課税用の申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売却時の不動産売買契約書
  • 登記事項証明書
  • 手数料や経費などの領収書

各書類の概要や入手場所について、紹介していきます。

確定申告書B様式

確定申告書B様式は、不動産売却時や事業所得など、所得の種類にかかわらず確定申告を行うすべての方が利用できる申告書です。税務署や確定申告会場の他に、役所の担当窓口、相談会場でも入手できます。

分離課税用の申告書

不動産売却による譲渡所得の他に、株式の譲渡所得や配当所得、先物取引の雑所得など、給与所得や事業所得以外の所得を申告する際に必要な書類です。税務署や役所の担当窓口で入手できます。

譲渡所得の内訳書

売却した不動産の情報を記載する書類です。売却した不動産の住所や土地・建物の種類、売買契約日、引き渡し日などを記載します。税務署で入手可能です。

売却時の不動産売買契約書

不動産売却時の確定申告には、不動産売買契約書のコピーを添付する必要があります。売却金額を証明する資料として用いられます。紛失してしまった場合は、不動産会社からコピーをもらってください。

登記事項証明書

登記事項証明書は、売買した物件の所有者が誰であるかの証明をするための書類です。売却を仲介した不動産会社を管轄する法務局で入手できます。

手数料や経費などの領収書

所得費用や譲渡費用を証明するために、手数料や経費などの領収書も添付しなければなりません。不動産会社への仲介手数料や登記費用など、売却にかかったすべての経費の領収書が必要です。なお、コピーでも問題ありません。

参考:主な国税の申告期限及び納期限等|国税庁

確定申告の方法と手順

ここでは、不動産売却時の確定申告の方法を詳しく見ていきましょう。また、スムーズに確定申告を行うための手順も紹介します。

確定申告の手続きは税理士への依頼の他に個人でも可能

確定申告は、個人でも十分手続きできます。しかし、手続きする時間が取れない方や難しそうだから専門家に任せたい方もいるのではないでしょうか。そういった方は、税理士に依頼してください。

中には家族や親族、友人に依頼したい方もいると思います。しかし、法律で確定申告を行えるのは本人もしくは税理士と決まっていますので、注意してください。

税理士に依頼することのメリットは、申告書の作成にかかる時間や手間を削減できることの他に、期日までに確実に確定申告できること、必要十分な税金対策が取れることなどがあります。

一方、デメリットは委託費用がかかってしまう点です。税理士の費用の相場は、売却額に応じて以下のように変わります。

売却額 費用相場
1,000万円以下 3万円
1,000万円~3,000万円 5万円~10万円
3,000万円以上 20万円

なお、税理士への委託費用は、必要経費として計上できます

次に、自分で確定申告を行う際の手順や注意点について見ていきましょう。

手順1:必要書類を用意する

まずは、確定申告に必要な書類を把握し、用意をしましょう。必要な書類は、税務署や役所の担当窓口で入手できます。

なお、不動産売却時の確定申告には、不動産売買契約書や登記事項証明書、不動産売却にかかった手数料や経費などの領収書が必要です。これらの書類が手元にあるかをまず確認してください。

不動産売買契約書がない場合は不動産会社に用意してもらいましょう。登記事項証明書は、売却を仲介した不動産会社が所在する法務局で入手できます。

手順2:譲渡所得税額を計算する

次に、譲渡所得税額を計算します。所得税額を求めるためには、はじめに以下の計算式で譲渡所得金額を求めてください。

譲渡額-(所得費+譲渡費)-特別控除=課税譲渡所得額

ポイントは、不動産の譲渡費用だけではなく、取得する際にかかった手数料や経費も差し引ける点です。なお、購入金額や購入にかかった経費が不明な場合は、売却価格×5%を概算所得費として計上することもできます。

課税譲渡所得額が求められたら、次に、以下の計算式で譲渡所得税額を求めてください。

課税譲渡所得額×税率(所得税+住民税)

なお、税率は売却した不動産の所有期間によって、以下のように変わります。

所有期間 所得税率 住民税率
5年以下 30% 9%
5年超 15% 5%

必要書類をそろえ、税金額を計算するまでは不動産売却後、いつでもできます。そのため、不動産売却後の早い段階で行くのがおすすめです。遅くとも1月中には終わらせておきましょう。

手順3:確定申告書に必要事項を記入する

次に、確定申告書に必要事項を記入します。確定申告書の記入は手書きの他に、インターネットでも可能です。まずは、手書きの際の注意点を見ていきましょう。

手書きの場合、使用可能な筆記用具は黒いインクのボールペンのみです。第一表と第二票の複写式のため、普段より強めの筆圧で書くことを意識してください。

書き間違えた際は、二重線で訂正し、空いている箇所に正しいものを書き込みます

また、手書きの確定申告書には押印欄があり、捺印がないものは再提出になるので、注意してください。実印、銀行員、認印は使用可能ですが、シヤチハタは使用不可です。

手書きでの確定申告の他に、国税庁ホームページに用意されている「e-Tax」というシステムを使えば、パソコンやスマートフォンから申告書を提出できます

書類データは、市販の確定申告ソフトで作成できる他に、国税庁のホームページ上に公開されている「確定申告等作成コーナー」というツールでも作成可能です。

手順4:税務署に書類を提出する

確定申告書の提出は、以下の3種類の方法から選べます。

  • 持参
  • 郵送
  • インターネット申告

持参の場合は、最寄りの税務署で確定申告期間中に設けられている申告窓口に提出してください。

なお、税務署の開庁時間は平日の8時30分から17時までですが、必ずしも開庁時間内に持参する必要はありません。閉庁してからしか持参できない方は、時間外収受箱に投函しましょう。時間外収受箱は土日や祝日、夜間でも投函可能です。

また、郵送もしくは信書便でも提出できます。最寄りの税務署宛に「郵便物(第1種郵便物)」または「信書便物」として送付してください。

日本郵便のサービスでも、「ゆうパック」や「ゆうメール」、「ゆうパケット」などでは送付できません。

インターネット申告を行う場合は、国税庁ホームページの「e-Tax」から申告してください。確定申告期間中は、24時間提出可能です。

以上で、確定申告の手続きは完了します。

手順5:納税をする

納税方法は、以下の6種類が用意されています。

  • 金融機関や税務署の窓口での納税
  • 振替納税制度を利用しての納税
  • 銀行ATMやインターネットバンキングでの納税
  • e-Taxでの納税
  • クレジットカードでの納税
  • バーコード付き納付書(コンビニ)での納税

振替納税制度以外の納税方法の期限は、確定申告の提出期限である3月15日です。

振替納税制度を利用した場合は、4月中旬から下旬に指定した金融機関から引き落とされます。

まとめ

不動産売却時の確定申告の方法や注意点、必要書類などをお伝えしました。

不動産売却時に売却益が出た場合は、確定申告は必須です。

売却益が出なかった場合や売却損が出てしまった場合は確定申告を行う必要はありません。しかし、損益が出た場合の特例を利用するためには、確定申告を行っている必要があります。

そのため、売却益が出なかった場合でも確定申告を行うことをおすすめします。

不動産売却時の確定申告は、給与所得や事業所得の確定申告より提出しなければならない書類が多いです。

不動産売却時の確定申告ははじめてという方が大半ではないでしょうか。手続きに慣れていないため、想定より手間取ってしまう方が多いと思います。

申告期限内に申告できるよう、できるだけ早めに準備を進め、余計な税金を支払わずに済むようにしましょう。

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