机上査定と訪問査定の違いは?それぞれのメリットとデメリットと価格に差が出る理由を解説!

机上査定と訪問査定の違いは、物件を直接見るか見ないかです。不動産を売るときは机上査定で業者を絞り込み、それから数社の訪問査定を受けるのが一般的といえます。

机上査定と訪問査定の違いについて、より具体的な内容を知りたい人もいるでしょう。「双方で価格はどれくらい変わるのか」「大きく変わる原因は何なのか」などの内容も含めて机上査定と訪問査定の違いについて、詳しくまとめていきます。

不動産の売却で特に大きな2つの手順を理解できるため、売却をスムーズに運ぶ上でも、きっと役立てていただけるでしょう。

机上査定とは

査定

机上査定とは、実際に物件を見ずに基本的なデータのみで行う査定です。簡易査定、仮査定とも呼ばれます。

机上査定は大別して、書類を提出するものと、しないものがあります。高度な机上査定では、業者が要求する書類を送り、業者はその書類を元に査定をします。「書類査定」というとイメージが湧きやすいでしょう。

近年では、より簡単な「Webのみで行う机上査定」が主流になっています。特に一括査定と呼ばれるサービスはすべて書類の送付なしで机上査定を行うのが基本です。

机上査定で業者が主に見るのは、類似物件の成約価格、周辺物件の売り出し価格、不動産市場の動向といった情報です。これらの情報がどのようなものかを解説していきます。

類似物件の成約価格

レインズ

査定する物件と似ている物件が、これまで実際にいくらの金額で成約したかというデータです。業者の査定では、不動産業者のみが利用できるデータベースである、REINS(レインズ)を主に用いて調べます。

一般の方はレインズは閲覧できませんが、上の画像のレインズ・マーケットインフォメーションで、ほぼ同じ情報を閲覧できます。

たとえば東京都・都心5区・マンションの条件で絞り込むと、下の画像のようなページになります。

レインズ

同じように全国の物件の成約価格を調べることが可能です。業者の机上査定では通常のレインズによって、さらに高度なデータ分析をしているということです。

周辺物件の売り出し価格

まだ成約していない周辺の物件が、いくらで売り出されているかも重要な情報です。これもやはり、業者はレインズを中心に調べます。

レインズに近い情報は、一般の方でも閲覧できます。下記の不動産ジャパンというサイトのデータベースです。

不動産ジャパン
引用:不動産ジャパン

これは全国の9割を超える不動産会社の物件情報が集まっているサイトです。正確にいうと、9割の業者が加盟している下記の4団体から情報が提供されています。

4団体がそれぞれ、すべての物件情報を公開しているとは限りません。しかし「大体の相場をつかめる」程度の情報は十分に公開されています。

たとえば東京都中央区・マンションの条件で絞り込むと、下の画像のようなページになります。

中央区

一般の物件情報サイトと同じように、レインズに近い物件情報を膨大にチェックできるということです。これよりさらに情報が多いレインズを見ながら、業者も周辺物件の売り出し価格を確認し、机上査定を行うということです。

不動産市場の動向

不動産市場全体の動きも机上査定に関わります。たとえば、一時期高級住宅地で大きな水害が起きたケースでは、その地域の物件価値がやや下落しました。

他にもより長いスパンで「タワーマンションの需要が伸びている」などの動向を見て、将来価値も計算して価格を算出します。

訪問査定とは

訪問査定

訪問査定は、物件を現地で調査し、重要書類もすべて確認する査定です。本査定、実査定とも呼ばれます。重要書類としては、以下のようなものをチェックします。

  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 登記簿謄本または権利証
  • 建物の図面
  • 設備の仕様書

他にも固定資産税の納付状況がわかる書類や、マンション管理規約なども必要になります。

その他、業者の方でも訪問の前後で、上下水道や電気・ガスなどのインフラ状況などを調査します。法務局や行政庁などで、各種の法規制についても確認します。ここでは、そのインフラ調査と法規制調査の具体例を紹介します。

インフラ調査

下水道

たとえば東京の下水道の場合、東京都下水道局の下水道台帳案内のページで、各エリアの下水道の状況を把握できます。上のような地図があり、拡大していくと下のような画像になります。

下水道

宅地などの情報は、完全に掲載されていない部分もあります。しかし、業者がインフラ状況をどのように調べているかのイメージは湧きやすいでしょう。

法規制調査

法規制調査では、主に土地にかかっている法規制を調べます。土地の法規制で特に多くの不動産が関わるものは下の2つです。

市街化区域 利用用途が自由なため、価値が高い
市街化調整区域 利用用途に制限があるため、価値がやや下がる

他にも農業振興地域や特定保留区域など、土地の法規制にはさまざまなものがあります。他にも多くの行政関連のデータを調査し、業者は訪問査定や本査定を行います(簡単な内容であれば、机上査定の段階で調べていることもあります)。

机上査定を受ける5つのメリット

査定

机上査定には主に5つのメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットを解説していきます。

すぐに結果がわかる

たとえば一括査定サイトの場合、1日から数日で結果がわかります。見積もりに参加する業者の大部分は1営業日から数営業日の間に、申込者に査定結果を返します。AIによる自動判定であれば即座にわかります。

申し込みが簡単

机上査定の申し込みは、主に下記の情報を入力するのみです。最短で60秒程度と記載されている一括査定サイトが多くあります。

物件種別 戸建て・マンション・土地など
基本情報 所在地、築年数、所有者
個人情報 氏名、メールアドレス、電話番号

その他、占有面積や間取り、査定希望理由などが任意で聞かれることもあります。

業者の絞り込みをしやすい

訪問査定を受ける前に、当然業者の絞り込みをする必要があります。この絞り込みは、何の接触もなしに行うより実際に業者とコンタクトを取って行う方が良いでしょう。

そのコンタクトを多数の業者と取るには机上査定、特に一括査定のサービスを使うのがもっとも便利といえます。

売らずに相場だけ調べることもできる

机上査定は業者にかかる負担が小さいため、売る予定が明確に決まっていない状態でも気軽に受けられます。相場を知ってはじめて売却に前向きになる売主も多いため、業者もこのような「気軽な申し込み」を歓迎しています。

「売る予定はまだないけど、相場だけ知りたい」という気軽なスタンスでも利用できます。

近所の人に知られない

訪問査定と違い業者が自宅に来ないため、売却を検討していることが近所の人に知られるリスクがありません。最終的に訪問査定は必要になるものの、ひとまず気楽に試せるのがメリットです。

机上査定を受ける3つのデメリット

査定

机上査定を受けることには、デメリットや注意すべき点もあります。ここでは、3つのデメリットと注意点を解説します。

査定価格はあくまで目安である

机上査定はあくまで簡易査定であるため、正確な査定価格は出せません。「大体の目安」と考える必要があります。例外的に地域密着型の不動産会社などが、机上査定でも詳細な査定価格を出すというケースもあります。

しつこく訪問査定を勧める業者も存在する

そして、業者としては机上査定だけでは利益にならないため、訪問査定につなげる必要があります。会社の方針によっては、強引な訪問査定への勧誘を繰り返すこともあります。一括査定サイトの場合、このような業者を運営サイドに通報することが可能です。

わざと高値を提示する業者もいる

業者としては、机上査定で興味を持ってもらえなければ訪問査定につながりません。そのため、売主の関心を引くためにわざと高値を提示することもあります。その価格が適正でないことは訪問査定でわかるのですが、時間と労力がムダになるというデメリットはあります。

訪問査定を受ける3つのメリット

査定

訪問査定には、机上査定にないメリットがあります。ここでは、そのメリットを3つ解説します。

かなり正確な市場価値がわかる

訪問査定では、物件の価値を判断するのに必要な情報がすべて揃います。そのため、かなり正確な市場価値がわかります。

仲介売却の場合、実際にその金額で売れるとは限りません。しかし、机上査定よりも確実に「実際に売れるであろう金額」が出ます。

業者の直接買取なら、確定価格がわかる

仲介売却ではなく業者が直接買い取る場合、確定的な価格がわかります。「確定的」というのは、まだそこから交渉の余地もあるためです。

複数の業者と交渉を継続していれば、値上げしてもらえる確率が高くなります。業者との交渉を有利に運ぶためにも、納得できる価格で確定するまでは、複数社との交渉を継続しておきましょう。

業者の信頼性を判断しやすい

訪問査定は机上査定より、業者の信頼性を判断しやすくなります。仲介の売却では、ごく稀に悪質な業者が「物件をわざと売らずに市場価格を下げる」ことがあります。

こうすると、物件が売れやすくなります。安くした分売却でもらえる手数料は減りますが、買い手からも手数料をもらう「両手取引」をするため、トータルの利益は大きくなるのです。

このような業者はごく一部ではありますが、確かに存在しています。このような業者と専任媒介契約を結ばないためにも、仲介では業者の信頼性を見抜くことが必要なのです。

訪問査定を受ける3つのデメリット

査定

訪問査定を受けることにはデメリットや注意点もあります。ここでは、それらの内容を3つ説明していきます。

訪問を受けるのに労力がかかる

業者の訪問を受けるには、それなりの労力がかかります。予定を合わせるのもある程度大変ですが、受け入れる準備をすることや、当日担当者とコミュニケーションを取ることに一定の負担がかかるのは確かです。

ただ、どのようなことでも良い結果を得るには労力が必要なものです。労力はかかっても物件を高く売るために必要なことですから、この点はデメリットというより「必要な努力」と捉えるべきです。

必要書類を揃えておく必要がある

訪問査定では、先述の必要書類を揃えておく必要があります。これを揃えるのに多少の労力はかかりますが、もともと不動産を売るためにはこれらの書類が必要です。そのため、揃えるのが早いか遅いかの違いといえます。

一度揃えれば、その後の訪問査定は楽に受けられます。これも、少しの手間さえかければ明らかにメリットが大きいと考えてください。

査定結果が出るまでに3〜4日かかる

訪問査定は、査定結果が出るまでに3~4営業日ほどかかります。机上査定が数時間~1日でできることが多いのに比べると時間がかかります。

ただ、この点については「机上査定ほどスピーディーではない」というだけで、特に大きなデメリットではないといえるでしょう。

机上査定と訪問査定で価格差が出る3つの原因

査定

机上査定と訪問査定では、ある程度金額が変動します。しかし、稀にその変動幅が大きいケースもあります。ここでは、そのように机上査定と訪問査定で金額が大きく変わる原因を3つ解説します。

現場に重要な情報があった

査定価格を左右する重要な情報が現場ではじめて見つかることはしばしばあります。代表的なものは物件の使用状況、近隣住人の状況、騒音や悪臭などの周辺環境といったものです。

物件の使用状況については、写真ではわからないような細部の瑕疵もあります。また、壁に染み付いたタバコやペットの匂いなども、現場に来てはじめてわかるものです。

土地については、建物と比べると使用状況の差が小さくなります。しかし、草刈りがなされていない、不法投棄がされているなどのケースでは、使用状況による査定額のダウンが起こりえます。

高度な書類調査で、重要な情報があった

マンションの管理規約や重要事項説明書など、特に重要な書類は訪問査定ではじめてチェックされるものです。これらの書類の内容によって、業者が査定額を大きく変えることがあります。

また、仮査定である机上査定については、インフラや土地の権利など、条例関連の高度な情報などを調べていないことも多いものです。本査定である訪問査定の前にこれらの情報を調べて、重大な要素が見つかることもあります。

机上査定が適当だった、わざと高くしていた

業者や担当者によっては、机上査定で「適当な回答」をすることもあります。とにかく数をこなす方針の業者では、特にこのパターンが多いです。

さらに「わざと高い見積もりを出す」業者も存在します。そのような形で媒介契約をとっても通常は結局売れずに終わるため、意味がありません。ただ、ノルマに追われている担当者が判断力を失い、そのような見積もりを出すこともあります。

何にしても「おかしな査定」は、複数の見積もりを取ることで気づくものです。そのような気づきを得るためにも、査定は複数の業者から受けるようにしましょう。

まとめ

査定

机上査定と訪問査定の違いは主に「物件を直接見るか見ないか」です。それに加えて、重要な書類を確認するかしないかという違いもあります。

このような違いはありますが、不動産の売却では机上査定と訪問査定の両方が必要です。机上査定で業者を絞り込み、訪問査定でさらに1社に決めるという流れがもっともスムーズです。

その机上査定を多くの業者から受けるためには、一括査定サイトなどのサービスを使うのが有効です。机上査定で信頼できる数社に絞り込み、さらに訪問査定でもっとも信頼できる業者を選ぶようにしてください。

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